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氷野杜涼一による創作日記っス。
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 さて、前回は「ビルドゥングスロマン」と呼ばれる構造である

 【究極構造①の①】

 『問題の発生 → (主人公などの精神的成長) → 問題の解決』

 を提示しました。

 これは「十二国記」(小野不由美 講談社X文庫)「千と千尋の神隠し」(宮崎駿 ブエナ・ビスタ・H・E)などありとあらゆるファンタジーで用いられているといっても過言ではない超基本構造です。これに気づかない人はいないでしょう。

 さて。今回は、この構造と併用されることも多く、同一バージョンとも呼べる構造なのですが、その前に。

 「実存主義」と呼ばれる哲学があります。

 キルケゴール、ニーチェに始まり、ヤスパース、ハイデガーらが展開し、サルトルなど著名な文学者もこの立場をとります。(サルトルと同時代人であるカミュの「異邦人」(新潮社)は実存主義に読めるのですが、カミュ本人が「異邦人」は実存主義ではないと明言してたらしいので、その弁を信じましょう。)

 この実存主義について簡単に言ってしまうのは無理なのですが、大いに無理して言ってしまうと、

 「存在は底なしのビンの底である」

 です。意味不明な方が多いでしょうけど、どういうことか知りたい方は勉強してみてください。

 アインシュタインの相対性理論と並び、現代に生きる我々の思考にすでに組み込まれている思想的原点のひとつです。

 ハイデガーと実存哲学への入門書として、僕の一番のオススメは『ハイデガー=存在神秘の哲学』(古東哲明 講談社新書)です。非常に情熱に満ち満ちていて好きです。はじめから『存在と時間』(ハイデガー ちくま学芸文庫)などを手に取ると瞬時に脳ミソが煮詰まると思います。

 あらゆる哲学書に共通しているのですが、抽象的言説でつづられた哲学の原書を最後まで理解しながら読むことは非常に困難です。一行一行を行きつ戻りつ全体と部分を考えながら読みすすめなければいけません。そのため解釈にかかる時間は文学の比ではありません。しかしながら、哲学者はまちがいなく美しい文章を書きます。言語的に洗練されたい方は触れてみてもよいかもしれません。意味は不明でも。(笑)

 「ブギーポップ」シリーズ(上遠野浩平 メディアワークス)では哲学からの外挿があった作品です。一作目「ブギーポップは笑わない」における弱者擁護の演説シーンはニーチェの言説の援用です。それゆえに「ブギー」は雑多なライトノベルにあってテーマ性において一線を画していたと思われます。

 (「テーマの重層化」などは、作品の濃度に活きてくるものなので、これもまたあとで論じてみたいと思います。)

 では、「貴種流離譚」などにみられる構造です。

 【究極構造①の②】

 『問題の発生 → (失われた状態の望ましい回復) → 問題の解決』



 (哲学って、世の中のあたりまえを水中から見上げる学問なので、水上をあたりまえに生きている人には必要ない学問ス。無用の用ス。なので僕はあたりまえに生きてないわけス。(笑))
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プロフィール
HN:
氷野杜涼一(ヒノトリョウイチ)
性別:
男性
趣味:
読書と創作
自己紹介:
 第7回スニーカー大賞最終選考候補者のひとり。
 目標は角川スニーカー文庫から本をだすこと。
 ライトノベル作家めざして鋭意創作中っス。
 気軽にコメントくださいっス。
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