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氷野杜涼一による創作日記っス。
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 前回は、昔話から現在まであらゆる物語にみられる

 【究極構造①の③】

 『問題の発生 → (主人公がどこかへ行って、もといたところに帰ってくる) → 問題の解決』

 通称「桃太郎」構造を提示しました。

 ほかにもマンガなどに見られる【ライバル構造】も付け足しました。

 さて今回は特別編。

 現実世界に物語の構造が多大な影響を与えてしまっている事例をいくつか紹介します。

 たとえば、不良でケンカ暴力なんでもありの10代を送った人や、ヤクザの愛人になるほどグレた10代を送った人が、教師や弁護士になって人を教え人を助け、しまいには国の委員会にまで加わってしまう。

 社会的な価値形態における極度のマイナスから極度のプラスへ。

 【究極構造①の②】(失われた状態の望ましい回復)

 マスコミなどはその人たちの人生にすぐれた物語の構造を読み取り、ドラマチックな人生として祭りあげるわけです。

 マイナスからのプラスは、プラマイゼロにはならない。

 マイナスからのプラスは、プラスになってしまうわけです。

 そもそもプラスの人よりもプラスに見られてしまう。

 要するに物語的であるがゆえにキワダツわけです。

(昔のことは水に流して、いまが大切という、世界には決して受け入れられない日本人的発想があるのでしょうか。この状況に『君を守りたい-いじめゼロを実現した公立中学校の秘密』(朝日新聞社)などの著者で小説家でノンフィクション作家の中嶋博行氏などは疑義を呈しています。)

 ほかにも。

 オタクの代表のひとり(?)である大塚英志氏はその著書『キャラクター小説の作り方』(角川文庫)において、ブッシュ政権の911テロ後のアメリカの対応を、ハリウッド映画の脚本術=シナリオ的であると看破しています。そして現実の「戦争」がテレビゲームや映画のようにとらえられてしまう現実に強い危惧を抱いています。

 (僕の物語の構造分析は大塚英志氏の著作がモトネタす。宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」が昔話などの構造に乗っ取っていることが詳細に分析されていまス。興味のある方はどうぞス。)

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 前回は「貴種流離譚」などにみられる構造で、

 【究極構造①の②】

 『問題の発生 → (失われた状態の望ましい回復) → 問題の解決』

 を提示しました。

 本来は地位を失った王や王子様が、王や王子様などに返り咲くストーリー展開をいいます。

 「県庁の星」も乱雑でテキトーで閉鎖間近だったスーパーの経営が立て直されることで、この構造に乗っ取っています。

 そのうえ。最後のほうで主人公の意見が知事に受け入れられることで、望んでいた出世コースに別アプローチではありますが存在感を示すことができています。

 さらに。ここが重要です。

 【究極構造①の①】

 『問題の発生 → (主人公などの精神的な成長) → 問題の解決』

 「県庁の星」では主人公が県民=庶民の心がわかるなど、という一番大事な心の成長(回復)をしています。

 テーゼどおりにうまくできているのがわかりますね。

=======================================

 さて。今回は「県庁の星」における主人公の「身体的」な動きに適応させた構造です。

 【究極構造①の③】

 『問題の発生 → (主人公がどこかに行って、もといたところに帰ってくる) → 問題の解決』

 これは「往きて帰りし物語」と呼ばれています。民話の「桃太郎」の構造です。

 「県庁の星」の主人公も、県庁から出向し、県庁に戻っています。

 そののちスーパーにも戻ってきますが、柴崎コウから副店長(?)の法令暗記リレーによって、スーパーの自立が提示されています。

 最後に政治的な現実が描かれていますが、いかに庶民感覚と政治が乖離している日本の現状がわかりますね。

 これを【ライバル構造】を呼びましょう。

 「県庁の星」は役人と庶民の二項対立に沿って描かれているドラマです。

 同じ織田裕二主演の「踊る!大捜査線」における本庁と所轄の構図ですね。

 このライバル的二項対立の展開はマンガでは常套手段です。思い当たるマンガを思い出してみてください。主人公にはライバルがいるはずですよぉ。



 (あ。ライアーゲームはじまりましたよ。(笑))

 さて、前回は「ビルドゥングスロマン」と呼ばれる構造である

 【究極構造①の①】

 『問題の発生 → (主人公などの精神的成長) → 問題の解決』

 を提示しました。

 これは「十二国記」(小野不由美 講談社X文庫)「千と千尋の神隠し」(宮崎駿 ブエナ・ビスタ・H・E)などありとあらゆるファンタジーで用いられているといっても過言ではない超基本構造です。これに気づかない人はいないでしょう。

 さて。今回は、この構造と併用されることも多く、同一バージョンとも呼べる構造なのですが、その前に。

 「実存主義」と呼ばれる哲学があります。

 キルケゴール、ニーチェに始まり、ヤスパース、ハイデガーらが展開し、サルトルなど著名な文学者もこの立場をとります。(サルトルと同時代人であるカミュの「異邦人」(新潮社)は実存主義に読めるのですが、カミュ本人が「異邦人」は実存主義ではないと明言してたらしいので、その弁を信じましょう。)

 この実存主義について簡単に言ってしまうのは無理なのですが、大いに無理して言ってしまうと、

 「存在は底なしのビンの底である」

 です。意味不明な方が多いでしょうけど、どういうことか知りたい方は勉強してみてください。

 アインシュタインの相対性理論と並び、現代に生きる我々の思考にすでに組み込まれている思想的原点のひとつです。

 ハイデガーと実存哲学への入門書として、僕の一番のオススメは『ハイデガー=存在神秘の哲学』(古東哲明 講談社新書)です。非常に情熱に満ち満ちていて好きです。はじめから『存在と時間』(ハイデガー ちくま学芸文庫)などを手に取ると瞬時に脳ミソが煮詰まると思います。

 あらゆる哲学書に共通しているのですが、抽象的言説でつづられた哲学の原書を最後まで理解しながら読むことは非常に困難です。一行一行を行きつ戻りつ全体と部分を考えながら読みすすめなければいけません。そのため解釈にかかる時間は文学の比ではありません。しかしながら、哲学者はまちがいなく美しい文章を書きます。言語的に洗練されたい方は触れてみてもよいかもしれません。意味は不明でも。(笑)

 「ブギーポップ」シリーズ(上遠野浩平 メディアワークス)では哲学からの外挿があった作品です。一作目「ブギーポップは笑わない」における弱者擁護の演説シーンはニーチェの言説の援用です。それゆえに「ブギー」は雑多なライトノベルにあってテーマ性において一線を画していたと思われます。

 (「テーマの重層化」などは、作品の濃度に活きてくるものなので、これもまたあとで論じてみたいと思います。)

 では、「貴種流離譚」などにみられる構造です。

 【究極構造①の②】

 『問題の発生 → (失われた状態の望ましい回復) → 問題の解決』



 (哲学って、世の中のあたりまえを水中から見上げる学問なので、水上をあたりまえに生きている人には必要ない学問ス。無用の用ス。なので僕はあたりまえに生きてないわけス。(笑))
 さて、前回は【究極構造①】『問題の発生 → 問題の解決』を提示しました。

 これは数学的にいえば公理でしょうか。

 今回はこの【究極構造①】にある定理をつけたしたいのですが、その前に。

 哲学用語に「予定調和」というものがあります。モナド論を唱えた哲学者ライプニッツの造語なのですが、つまりはじめから調和(うまく物事がまとまるようなこと)が予定(あらかじめ決められていること)されているような事象をさします。

 物語でいえば、ハッピーエンドや大団円などのことですね。

 逆に現代残酷物語であるノワールでは主人公の死をもって終わることもあります。

 マンガの少年誌でいえば、結局主人公が勝って終わる話ということになります。

 この予定調和を意識しはじめた当初、僕はマンガが読めなくなりました。

 どうせ主人公が巨悪を倒して勝って終わるというラストが読みはじめる前からミエミエになってしまったからです。

 いやほんとうに、抽象化は人生を貧しくしますね。 (笑)

 では。ビルドゥングスロマン(成長物語)とよばれる構造です。

 【究極構造①の①】

 『問題の発生 → (主人公などの精神的成長) → 問題の解決』



 (ちかぢか具体的な物語を分析していく予定ス。おたのしみにス。)
 物語の構造分析をやります。

 このブログはこの物語の構造の抽出をするために書かれはじめました。たぶん…。

 構造というのは帰納された抽象的な語彙のみで表現されるものなので、小中学生のみなさんにはやや難解かと思います。

 哲学者キルケゴールは言いました。

 「抽象化は人生を貧しくする。」

 まさにそのとおり。抽象的な思考で生きる人生は貧しいものです。

 なので僕の人生は貧しいです。(笑)

 人生は演繹の底辺である具体でのみ生きるべきものです。

 そこのところはぜひ注意しましょう。

 ですが。

 作家に属する方々は、この帰納(抽象化)と演繹(具体化)を自在かつ柔軟に行うことで、物語をつむいでいるはずなのです。

 ではさっそく。

 【究極構造①】  『問題の発生 → 問題の解決』



 (このシリーズはぜひともマジメくん文章ス。許すス。)


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プロフィール
HN:
氷野杜涼一(ヒノトリョウイチ)
性別:
男性
趣味:
読書と創作
自己紹介:
 第7回スニーカー大賞最終選考候補者のひとり。
 目標は角川スニーカー文庫から本をだすこと。
 ライトノベル作家めざして鋭意創作中っス。
 気軽にコメントくださいっス。
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